2021年 ヨアキム・トリアー監督。何が最悪かというと、世間一般の古い常識からすると、最悪ってこと。ただそれだけ。
あらすじ
成績が優勝だからというだけで入った医学部をやめ、心理学部もちょっと違うと気づき、写真家を目指しているユリア(レナーテ・レインスヴェ)。
あるときコミック作家のアクセルと恋に落ちるが、家庭に入ることを求められ思い悩む。そんなある日アイヴィンという若い男と出会い恋に落ちる・・
感想
タイトルでは世界最悪のような表現をしていますが、観終わった感想としては「すっきり」という言葉がぴったり。
主人公のユリアに自分を重ね合わせる女性も多いのではないかと思いますが、こんなふうに自分の思いを行動に移せる人ばかりではなかった時代の人間としては、うらやましくてしょうがないです。
「家庭に入り、子供を産んでほしい」
ひと昔前ならまったくあたりまえの男性の願いだったことは、いまは女性にはプレッシャーになる場合もあるでしょう。
逆に、こんなプレッシャーを彼女に与えられない、と思う男性もいるのでは。しかしながら世間一般の常識はいまだに女性は結婚して子供を産むことが順当だ、というもの。
それからすると、このユリアの生き方は最悪、となるのでしょうが、観ている我々からすると、絶対に最悪ではない、むしろ崇高だとすら思います。
それは、ユリアの生き方は決して容易い道ではなく、自分の意志に正直に生きるということはこんなにもイバラの道なのかと気づかされ、だんだんと心がユリアに寄り添っていったのです。
ポスターなどの写真になっている、ユリアが爽快な表情で走っている写真。こうやって選択した道がたとえ世間からは間違いだとみられたとしても、でもそれでよかったんじゃないの、と私がユリアの友人なら言ってあげられるかなあと思いました。