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『沈黙の艦隊 北極海大海戦』感想/ほんとうに世界の平和のことを考えたことありますか

出典:映画.com

 

2025年 大沢たかお主演。1988年~96年にモーニングに連載された、かわぐちかいじ作の漫画の映画化。アニメ化もされ、当時大きな話題となりました。さらに近年 Amazon Prime Videoで実写ドラマシーズン1が配信され、この映画はその続編。

 

あらすじ

 

日本とアメリカが極秘に建造した原子力潜水艦を奪い、独立国「やまと」の建国を宣言した艦長の海江田四郎(大沢たかお)。

 

東京湾での米国艦隊を圧倒した海戦のあと、やまとはベーリング海にいた。しかしやまとをテロリストとみなす米国政府が放った最新鋭の原潜が近くに迫っていた・・

 

感想

 

海江田四郎が思い描く世界の平和は、おおむね以下の通りですが、当時は「漫画のなかでしか実現は不可能な、いわば荒唐無稽な話だ。だけど実に面白い」と評されていました。

 

〈政軍分離〉

政治軍事を切り離し、軍事を超国家組織に集中する

沈黙の艦隊計画〉

核兵器を持った世界の戦略原潜を国家から独立させ、すべての国に平等に核報復力を持たせる。小国も核を持つ必要がなくなり、心理的抑止力となる。

 

原作漫画を未読のまま、配信ドラマと映画を観ましたが、2025年のいま、世界ではいろいろなことが起きていて、いくら平和な日本に住んでいるとはいえ、いままでの80年と同じような日々が今後も続いていくのかどうか、その保証は一切ないじゃないかと思えてきています。

 

原子力潜水艦やまとが独立国家になる・・なんてのは確かに画期的でありえない話ですが、じゃあ私たち、いままで世界の平和についてどのくらい真剣に考えたことがあるだろうって、誰かに頭を殴られたようにハッとしました。

 

「白組」の素晴らしいデジタル映像でミサイルが美しく弧を描きます。しかしもしこれが本当なら、ミサイルの先には人の死があります。私たちにできることは本当に何もないのか?

 

ほんの80年前には世界大戦が起きていた。ふたたび起きないだろうとは言えないと、みんな心の中で思い始めている。だからこの映画、なんとも心に響きます。つまり大義名分のある映画は、それだけで強い。

 

日本のVFXのレベルが上がり、かつては漫画の世界でしか描けなかった物語がこのように見事に映像化されて、しかも時代が変わりどことなく他人ごとではなくなっています。

 

エンターテインメントとして楽しむのと同時に、頭のどこかで平和について考えるきっかけ、にはなるのではないかと感じました。

 

映画はハラハラしながら話が進み、いきなりスパッと終わったので、もちろん続編があるのでしょう。既存の漫画ですので結末はもうわかっています。しかし最後の最後を描いていないので、そこをどうするのかは楽しみなところでしょう。

 

大沢たかお、いい俳優さんですが特に代表作がなかった気がします。王騎将軍のちょっと香りが残る海江田四郎は、まさにハマり役かなと思いました。

 

 

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