アンディ・ウィアーのベストセラーSF小説をライアン・コズリングが気に入り、自らもプロデューサーに名を連ね、主演も務めました。何と言うか、きちんとしたSF映画で、しかも泣けます。
あらすじ
未知の生命体「アストロファージ」が太陽をはじめとする星々に寄生しエネルギーが奪われていることがわかり、世界的なプロジェクトが発足していた。
一介の教師だったグレース(ライアン・コズリング)はかつて学会を追放された過去がある。その時の学説が地球を救うかもしれないとプロジェクトに引き込まれ、しまいには片道切符の宇宙に送られることになってしまう・・
感想
久しぶりの本格的SF映画。しかも実に良くできています。ストーリーはもちろん、宇宙に浮かぶ星や宇宙船の美しさ、ライアン・コズリングの繊細な演技もすべてが調和した秀作と言えます。
実は、原作に書かれていることで削られた重要な部分もあるとのこと。2時間半でまとめるには仕方が無いことでしょう。あとから原作を読んでもいいのかなと思います。しかし、ストーリーがわかりにくいということはなく、支障はないと思われます。
ライアン・コズリングはこれまで本当にいろいろな役をやってきました。いずれも大ヒット作ばかりです。宇宙飛行士の役もありました。しかし、私はこのちょっとコミカルでおたくっぽいキャラのグレースは、いちばんのハマり役ではないかと思っています。
割と暗い役が多かったのですが、こういう表情もするのか、と改めて引き出しの多さに感心します。宇宙船の中での演技は、ほぼ一人芝居だったはずですが、ほんとうに何度も泣かされました。もちろん、エイリアンのロッキーの指コンコンでも泣きましたが・・(どうか本編をごらんください)
また、プロジェクトのリーダーを演じたサンドラ・ヒュラーの冷徹さと暖かさを感じさせる深みのある演技も秀逸。「希望の灯り」から注目していましたが、「落下の解剖学」「関心領域」ですっかりメジャーな女優さんになったのはうれしい限りです。
SF映画と一口に言いますが、そういうくくり方をするのは少し違うのかもしれません。起きるはずのないことが起きる今の時代。地球環境だって50年前とは全く変わってきています。まったく想像上のできごとである本作ですが、あまりにも突飛な設定だとは思いません。人間が地球上に生まれたこと自体が奇跡ともいえるのですから。
しかしながら、この物語の描きたいものはそういう設定云々ではなく「人が岐路に立ったときに選択することとは何か」ということ、つまりヒューマニズムです。
いままで、SF映画を敬遠しておられた方にも本作の温もりは十分伝わるのではないでしょうか。温かい気持ちになりたいとき・・是非ともおすすめの一作です。