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『NOPE/ノープ』感想:最悪の奇跡

出典:映画.com

2022年 ジョーダン・ピール監督・脚本 過激に社会を糾弾してきたピール監督ですが、今回はやや抑えた表現でそれでも無数のジャブが後から効いてきます。ホラーというカテゴリですが、画像は美しく、また最悪の気持ちで終わることはありません。

 

あらすじ

OJ(ダニエル・カルーヤ)は広大な敷地の牧場を経営する家の長男。あるとき突然空から異物が降り注いでくる。その謎の現象が止んだかと思うと、直前まで会話していた父親が息絶えていた。

 

OJは父の死の真相を突き止めるべく、妹とともに謎の現象の動画を撮ろうとする・・

 

感想・考察

 

この映画は全編なにかの揶揄が集まってできています。一枚一枚違う写真を合わせてひとつの絵画になるように。

 

そのピースの一つ一つから感じたことは、「差別や権利の侵害をした者はいずれ報復を受けるだろう」という監督のメッセージでした。

 

OJはなぜ真相を知りたいのか

 

主人公のOJは一見愚鈍そうに見えても実は機敏な人物。ダニエル・カルーヤのクルクルした目が良く動き、いい演技を見せていました。

 

ここでひとつ残念なのは、なぜOJがそれほどまでに真相を知りたかったかがあきらかでないこと。

 

お父さんは飛行機の落下物で亡くなったのではない。では一体何なのか。そのOJの気持ちを私たちに伝えるために、たとえばお父さんとの大切なエピソードのシーンを挿入するなど、もう少し工夫が欲しかったです。

 

兄のOJと対照的な妹エメラルド役のキキ・パーマーの演技は、弾けすぎて受け入れ難い方もいるかもしれませんが、あのよく通る大きい声が、広い荒野に必要だったとも考えられます。

 

広大な風景の美しさ

 

ところで、この映画の撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマは、クリストファー・ノーラン監督の作品にも参加していただけあって、ハリウッド郊外の広大な風景を実に美しく撮っています。自然や、超自然的なものに対して人間の小ささが対比できています。

 

そのほか、音楽も、音の入り方もきれい。「一番搾りビール」やカマキリなど小物の使い方もセンスいい。

 

誰も言わないけど「目がどこかわかんないじゃん」とか、「チンパンジーの回想長すぎ」いうツッコミどころなどがありますが・・

 

それでもNOPU(意味:いやー!!)というタイトルを含めて、とても質の高い映画ではあります。

 

最悪の奇跡というキャッチフレーズですが、作品としては最悪のホラーではないことは確かです。

 

 

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