今宵はちょっと映画でも

cinema clubへようこそ

『MINAMATA-ミナマタ-』感想

2021年公開。水俣病という公害問題があったことを、日本人でありながら忘れていました。そしていまだにこの問題が解決していないことも知らなかったのです。

あらすじ

かつてはアメリカを代表する写真家だったユージン・スミスジョニー・デップ)は酒に溺れる日々を送っていた。

そんなある日、アイリーン(美波)と名乗る女性から、熊本県水俣市チッソ工場が海に流す有機水銀によって苦しんでいる人々を撮影してほしいと頼まれる・・。

 

感想

それにしても、こんな恥ずかしい形で日本の公害がクローズアップされようとは。

 

その実在の著名な写真家ユージン・スミスを演じたジョニー・デップですが、さぞや起死回生の熱演を見せてくれるかと思えば、やはりジョニー・デップジョニー・デップでした。

 

とはいえ、映画は非常に素晴らしく、随所に涙ぐむところがあり、心を動かされる映画ではありました。間違いなく素晴らしい映画と言えます。

 

特筆すべきは、ビル・ナイ演じるLIFE編集長の渋い名演技。デップとの掛け合いのシーンでは終始圧倒しています。

 

この作品はジョニー・デップによるジョニー・デップのための作品であるにもかかわらず、彼はやはり飲んだくれのオヤジをお洒落に演じていた。

 

頑張っていたのかもしれませんが、だけどまだ足りない。水俣の「入浴する母と子」の写真を撮ることができたユージンがどんなに感動していたか、もどかしいほど伝わってこなかった。

 

ただ、あの写真がユージンによって撮影されたという事実がそこにあるおかげで、写真から、とてつもなく大きなものが伝わってきた。そこに涙が出たのです。だから映画は素晴らしい。しかし決してジョニーのおかげではないのです。(ちなみに私はジョニー・デップの大ファンです)

 

ユージン・スミスという写真家が撮影した写真。その白黒写真がスクリーンに映し出されたとき、偽物のセリフは何一つ必要なくなりました。

 

神々しいようなその写真は映画のクライマックスにふさわしく、いまもユージンの代表作と言われるその1枚に、すべて持っていかれてしまいました。

 

MINAMATA」その言葉が世界中で忘れられない言葉となった瞬間です。