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あのとき見逃した映画は名作だったかもしれない

『ブルックリン』映画のあらすじ&感想

2016年 シアーシャ・ローナン主演。はじめは何が言いたいのかわからなかったけれど、ブルックリンという特別な街に主人公のエイリシュは自分の意志で生きている。言いたかったのはそういうことなのかな。ブルックリン (字幕版)

あらすじ

1950年代初頭、アイルランドにある小さな閉鎖的な町に住むエイリシュ(シアーシャ・ローナン)。姉と母の3人暮らしで、自身は小さな食料品店でいじわるな女店主に雇われている。

この環境から抜け出させたいと考えた姉のローズは、知人の神父が住んでいるアメリカのブルックリンに渡ることを勧めた。

ブルックリンは不況だった頃にアイルランド人が多く移住している街だった。デパートの仕事も決まり、エイリシュは1人、船で旅立つのだった。

ブルックリンでの暮らしは馴染めないことばかり。デパートのお客との上手なやり取りは難しく、同僚との会話さえうまくできない。寮で暮らす女性たちからも毎日からかわれることばかりだった。

ある日エイリシュはダンスパーティーでイタリア系アメリカ人のトニーと出会う。

エイリシュに対して一途に積極的にふるまうトニーに、エイリシュはその思いを受け入れ、自分も愛していると告げる。

そんなとき、アイルランドにいる姉のローズが急死したという知らせが届き、母のもとにしばらく帰ることになる。

トニーは旅立つ前のエイリシュにプロポーズし、エイリシュもそれを受け入れ、2人は夫婦となった。

エイリシュは船に乗り、母の待つ故郷の町へ向かう。久しぶりのアイルランドの田舎町は、以前よりも優しくエイリシュを迎えてくれるのだった・・。

感想

特に大きな事件は起こらず、1人の女性が、どのように人生を選択するのかという物語です。

主人公のエイリシュは美しく、共演者の女性もみんな綺麗です。ファッションも素晴らしくどのシーンも絵になるようです。

ただ、この映画の主題は、主人公のモテ話ではなく、主人公が生きる場所をどう選択するか、と言うことです。

ブルックリンへ一人で移り住んだ主人公のエイリシュは仕事も恋も充実していく、という現代にも通じる女性のサクセスストーリーのようであり、画像もきれいなのですが、映画が訴えたいところはそこではなく、主人公がアイルランドからブルックリンへ渡り生きていくということそのものだと思いました。

すんなりと理解するには、アイルランドの歴史を勉強しアイルランドから多くの移民がブルックリンに移り住んだ、ということを知っておく必要があります。

「あのラグビー強いアイルランドだ」ぐらいの知識で映画を観てしまうと、いまひとつ主人公に共感できないことになってしまいます。

アイルランド人の監督と主演女優による作品ですので、彼らはそれをふまえた演出・演技をしたのでしょうが、すべてがちゃんとこちらに伝わりきれてなかったように思います。もう少し説明の部分があってもよかったかもしれません。

ただしかし、そういうことを加味しても、主人公のエイリシュが「唐突に」人生を決意する終盤のくだりは、いまひとつ理解に苦しみます。

たしかに決意する時ってだれでも唐突なのかもしれませんが、映画ではちゃんと「間」が無いと、見ている人は受け入れられないこともあります。そこだけは残念です。

ところであらすじにも出てきた「女店主」は、確かにいじわるなことを言うけれど、よく考えたら正しいことばかり言っています。

エイリシュに対して、最後に重要なことをはっきり言うのですが、それによって彼女は唐突に決意するのです。それはとても正しいいじわるだったようです。