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あのとき見逃した映画は名作だったかもしれない

『羅生門』映画のあらすじ&感想/日本人は黒澤明をもっと誇りに思うべき

1950年 黒澤明監督の名を世界に知らしめた作品。三船敏郎京マチ子森雅之志村喬・・というお名前を列記するだけで恐れ多くて身震い。ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞。

あらすじ

平安時代、朽ちかけた羅生門に雨が降りしきる中、3人の男が雨宿りをしていた。杣売りの男は「信じられねえ、信じられねえ」と繰り返すばかり。

何が信じられないのだ、と聞かれ、男は話を始める。

男は山の中で侍(森雅之)の死体を見つけた。やがて犯人である山賊の男・多譲丸(三船敏郎)が捕まる。

だがしかし、多譲丸の話と、侍の妻である真砂(京マチ子)、巫女によって呼び出された侍の話がすべて食い違っていたのだ・・。

感想

ちなみに「羅生門効果(Rashomon effect)」という言葉を生み出したこの偉大な映画のことを、当時の大映の社長さんは「なんやわからんが高尚なシャシンやな」と言ったという。(ひどいあほやな

羅生門効果とは。1つの事件が起こる。それをめぐって当事者たちがさまざまな証言をするが、内容が食い違っている様子を、心理学や法曹界でそう呼ぶようになったそうです。

さてその「羅生門」、どのように感想を言えばいいでしょう。何を言ってもおこがましいというか、私なんかが感想を言えるような作品ではないような気がして。

とにかく観てほしい。あの三船敏郎の若く勢いある野生動物のような姿、京マチ子の豹変する演技、森雅之の深い深い瞳をみてほしい。

恐ろしく手をかけて作った門のセットと消防車3台分の降りしきる雨。朽ちかけた門で雨宿りする3人の男たちのセリフ。

今見ても「古い」とは全く感じないモノクロ映像の中の森の木々と、木漏れ日のなかで陰影が作られた俳優たちの表情。

言えば言うほど素晴らしさが止まらない。これが1950年の日本映画とは思えない。素晴らしい映画というのは、こんなにも普遍的なのだと感動せずにはいられない。

私たち日本人は、は黒澤明という存在をもう少し誇りに思ってもいいと思います。