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あのとき見逃した映画は名作だったかもしれない

『ハワーズ・エンド』映画のあらすじと感想/1900年代のロンドン中流階級は豪華

1992年 エマ・トンプソンがアカデミー主演女優賞を受賞しました。絢爛豪華な設えは見事です。

あらすじ

知的で情緒豊かな中流階級のシュレーゲル家と、現実的な実業家のウィルコックス家。両家は旅行中に親しくなり、シュレーゲル家の次女ヘレン(ヘレナ・ボナム・カーター)はウィルコックス家の田舎の別荘「ハワーズ・エンド」に招かれる。

そこで次男ポールに一目ぼれするヘレンだったが、ある行き違いからウィルコックス家と気まずい関係になってしまう。その後、ロンドンのシュレーゲル家の向かいにウィルコックス家が引越してくるが、ヘレンは彼らに会おうともしない。

一方、姉マーガレット(エマ・トンプソン)はウィルコックス家の老婦人ルースと深く理解しあう。やがてルース夫人は「ハワーズ・エンドはマーガレットに」という遺言を残して他界する。

しかし遺言はもみ消され、マーガレットはウィルコックス家の当主ヘンリー(アンソニー・ホプキンス)のもとへ嫁ぐことになり……。

感想

名優エマ・トンプソンアンソニー・ホプキンス、そしてヘレナ・ボナム・カーターがイギリスの中流階級の豊かな人々をうまく演じています。

映画の時代背景は1900年初頭。中流と言いますが、まったく豊かな暮らしが終始描かれ、素敵なカップや艶々したドレスの美しさに、それを観ているだけでも十分だと思えてしまうほど。

それに加えてストーリーは意外と波乱万丈。さすが名作と言われている英文学の映画化なので、後半になるにしたがってどんどん盛り上がります。クライマックスもアッと言わせる仕掛けが。

最初は静かに始まり、どことなく橋田寿賀子のドラマを彷彿とさせる、非情と愛情がまみえている優れた人間ドラマと言えます。

この作品ではっきりとわかるのは、薄い演技をする俳優による人物像は薄く、重厚な演技者による人物像は深いのだということ。あたりまえのことですが、改めて気付くことができました。