いい映画さがし

あのとき見逃した映画は名作だったかもしれない

『はい、泳げません』映画のあらすじと感想/普通の人を演じた長谷川博己

2022年 長谷川博己はいつもの怪演にひとあじ加わり、等身大の再生する男性を好演しています。

あらすじ

大学で哲学を教えている小鳥遊(たかなし)雄司(長谷川博己)は水に顔をつけることが怖く、泳ぐことができない。

これまで頭でっかちな言い訳ばかりして水を避け続けてきたが、ひょんなことから水泳教室に通うことに。

プールを訪れた彼に強引に入会を勧めたのが、陸よりも水中の方が生きやすいという風変わりな水泳コーチ・薄原静香(綾瀬はるか)だった。静香が教える賑やかな主婦たちの中にぎこちなく混ざった雄司は、水への恐怖で大騒ぎしながらもレッスンを続けるが……。映画.com

感想

何かを失った人が再生するには、同じように喪失して再生した人に手を引かれることで道が開けるのではないでしょうか。

この映画における静香コーチがその役割です。ですが残念な点がひとつあり、その1点によって映画そのもののクオリティを下げる結果になってしまったのがたまらなく残念。かなりいい作品なのに、その1点とは。

物語のクライマックスで静香コーチ(綾瀬はるか)が言う4文字のセリフ。この言葉はこの映画の核と言ってもいいような大切なセリフ。

苦しみの中から再生した静香コーチが放つこのセリフによって、この物語が大団円を迎え、それまでの長谷川博己の演技が生かされることになるのです。

なのにこの4文字のセリフにが入っていなかった。

編集でエコーをかけて繰り返されていたけれど、その工夫だけでは足りなかったと思います。

なぜそんなに残念に思うのか、それはこの作品がかなりいい作品だったからに尽きます。かなりもかなり、相当良いです。

そこだけが、そのセリフに魂が入っていたら・・

ネタバレ

ここからネタバレしますが、そのセリフとは、

逃げるな

この言葉、自分にも言いたいし、いろいろ悩んでいるひとたちにも言ってあげたい。

辛いことからは逃げてもいい。しかし自分からは逃げてはいけないのです。