いい映画さがし

あのとき見逃した映画は名作だったかもしれない

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』映画のあらすじ&感想:ビョークの歌は唯一無二

2000年 これはフィクションだ、と思っていても怒りがおさまらない映画。そして胸の中のずっと奥にまで沁みた映画。

あらすじ

アメリカの片田舎。チェコ移民のセルマ(ビョーク)は息子ジーンと2人暮らし。

つつましい暮らしだが、隣人たちの友情に包まれ、生きがいであるミュージカルを楽しむ幸せな日々。しかし彼女には悲しい秘密があった。

セルマは遺伝性の病で視力を失いつつあり、手術を受けない限りジーンも同じ運命をたどることになるのだ。映画com.

感想

なんでこんなに一方的で腹が立つ話なのだろう。これはフィクションだ、物語なのだ、と言い聞かせてもどうしようもなく怒りがこみ上げてきます。

主人公がどんどん不幸になる。どんどんどんどん・・。

それでも、じゃあ観なければよかったとはならない。何かが胸の奥に沁みたのです。

それこそがこの映画が私たちに届けたかったものなのでしょう。20年以上経っても確かに残っています。

それは、実際に移民に対する仕打ちはこの通りだったのだろうということ。時代が移っても、今も理不尽なことがあるのだろうということ。怒りの中で冷静な意識が理解していくのを感じました。

そしてストーリーの悲惨さを救うように、ビョークのパフォーマンスの素晴らしさはこれまた心に刻まれます。

歌をうたう、というのは、ただメロディーをうたうだけ、歌詞をうたうだけではない。

魂を表現するのだ、とこの時理解しました。歌をうたうのがうまい人は世界に数限りなくいますが、ビョークの歌は、唯一無二のものです。

ムカムカした思いと同時に、ビョークの歌がその後ずっと心に沁み続けた、2000年公開の名作です。