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『ロスト・ドーター』感想:母性をめぐる深いドラマ

出典:映画.com

 

原作はイタリアの作家エレナ・フェッランテの「La figlia oscura(ダーク・ドーター)」
監督は女優でもあったマギー・ギレンホール。主役のオリビア・コールマンのほぼ独り舞台ですが、感心したのは若き日を演じたジェシー・バックリーのいい演技。

 

あらすじ

 

バカンスにやって来た中年女性レダ(オリビア・コールマン)は、ビーチで見かけた若い母親ニーナ(ダコタ・ジョンソン)と幼い娘をみて昔を思い出す。

 

かつて自分がいい母親ではなかった時の記憶が、レイダの脳裏によみがえってきた・・

 

感想と考察と整理

 

育児ストレス
ビアンカ7歳、マーサ5歳。天使のように可愛らしい娘たちは、母親に甘え、一日中まとわりつく。母親はこのエンドレスな時間の中で空虚な表情になっていく。原題はダーク・ドーター。育児の苦しみを知らない人でも、それがどんなに地獄なのかが伝わるでしょう。レダはそんな娘たちを捨てて家を出ました。3年後に戻り、現在は娘たちとの関係は修復しているようですが、ふとしたことで思い出し、悔恨の念にかられます。

 

なぜ人形を盗んだか

 

それはおそらく以下の通りです。

 

ミーナの幼い娘は人形を噛んでいた。レダはおそらく本能的に人形を連れ帰る。人形は娘たちそのものに思えた。抱っこして頬ずりしたときの抱き方が、赤ちゃんを抱くときと同じ。
ビアンカの人形を壊した過去やすべてのことへの贖罪とともに当時の娘たちへの思いがよみがえり人形にほおずりするが、しかし中からは泥水が。あ、やっぱりこの子にも毒があった、という顔をするレダ

 

ただ原作では人形を返す機会を何度も逃しているのですが、映画では今一つレダが何を考えているか掴めません。

 

レダに母性はあった

 

レダがどれほど必死で子育てをしていたかは、娘たちを預けて学会に行く前に、シッターさんに事細かに指示を出す様子で伝わります。彼女にはちゃんと母性があり、完璧な母親だったのです。ただしかし疲れ果てていた。自分自身のキャリアもこのまま埋もれてしまうという焦りもあった。男ができたことはきっかけでしたが、レダはついに行動しました。
「ここから抜け出し、自由になる」
しかし3年後にレダは娘たちのもとに戻ります。おそらく真の自由では無かったのでしょう。夫とは違い子供との絆は切れないのです。それからは母親として娘たちとの関係を修復していったのでしょうが、リゾート地で出会った母子を見て過去の罪を思い出します。

 

レダは最後に救われた

 

最後にレダは人形を盗んだことを告白しミーナに詫びます。過去の罪をも滅ぼしたい気持ちで。ミーナはしかし激昂し、レダを帽子のピンで刺してしまいます。

 

そしてレダは海辺になんとかたどり着き。ビアンカと電話で話し、穏やかな表情でオレンジをむきながら映画は終わります。

 

レダの命がどうなったとしても、レダが望んだように、もう彼女の過去の罪は消え去ったのでしょう。

 

リビア・コールマンはミスキャスト

 

言うまでも無く最高峰の演技派女優の彼女ですが、女王陛下の時に比べたら、この役柄をなんとなく咀嚼できてない印象が。

 

第一、若い時に子供を捨てて男に走った女という雰囲気がまったくこの人には無い。あきらかにミスキャストです。

 

そう、もしもイザベル・ユペールなら、ケイト・ブランシェットなら・・さてどうだったのでしょう。

 

 

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