2019年 監督は「ヘレディタリー/継承」のアリ・アスター。主演はフローレンス・ピュー。「胸糞映画」と称されるが、そんなことはない。新しいジャンルの映画だと思います。
あらすじ
不慮の事故により家族を失ったダニー（フローレンス・ピュー）は、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。
彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。
しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく。映画com.
感想
なぜか勝手に脳裏に流れる鬼束ちひろの「月光」
人里離れたコミュニティで殺人が起きる、というモチーフはまるで日本のドラマ「トリック（堤幸彦）」のようだと瞬間に思いました。
ただし大きな違いがあり、笑う要素が一つもないだけでなく、ホラーでもサスペンスでもない新感覚のジャンルだなと感じさせます。
スウェーデンのとある場所。白夜のためほとんど日が沈まない、つまり太陽が燦燦と降り注ぐ中で恐ろしい事件が起きていきます。このギャップは経験したことが無く、新鮮でした。
ホラーは夜の闇があってこそ。だからこの物語、怖くはないのです。ただ、究極に気味が悪い。
しかしこの映画のことを「胸糞悪い」とさんざん表現されていますが、それもちょっと違います。
なぜなら、すごく面白いから。「なんじゃ？」と思いながら、すーっと引き込まれていく。そして「やはり」という展開になり、少しだけ「おえっ」となりながら、ラストに妙にすっきりしていく。（すっきりするような話じゃないのに）
だからやっぱりこの映画、「トリック」を楽しむ脳と同じ脳で楽しめるのかなと思います。事件を解決する人は出てこないし、最後に鬼束ちひろも流れないけれど。
いえ、あの魔のようなラストは、まさに「I am GOD'S CHILD この腐敗した～」という歌詞にぴったりかもしれません。
