今宵はちょっと映画でも

cinema clubへようこそ

『ニトラム/NITRAM』感想

2021年 オーストラリアで1996年に起きた、無差別銃乱射による大量殺人事件の犯人マーティン・ブライアントの生い立ち・事件の背景を描いています。この映画は世界的に評価され、主演のケイレブ・ダンドリー・ジョーンズもカンヌ映画祭の男優賞などに輝きました。

 

あらすじ

1990年代半ばのオーストラリア、タスマニア島。母と父と暮らす青年(ケイレブ・ダンドリー・ジョーンズ)は、小さなころから周囲になじめず孤立し、同級生からは本名を逆さに読みした「NITRAM(ニトラム)」という蔑称で呼ばれ、バカにされてきた・・

感想

 

生真面目そうな銃砲店の主人が、銃を持つことは大人の男のたしなみだと言わんばかりに熱心に対応する。

 

このシーンがこの事件の本質を突いていると私は思います。

 

淡々と綴られた事件までの日々。社会に適合できず両親もなすすべなく疲れ切っていた。誰かが困ることに喜びを憶える異常な性格。この人物に銃を与えてはならないということは明らかなことでした。

 

しかし、いとも簡単に彼は入手した。しかも米軍が使用するようなモデルのものをいくつも。許可証も持っていないのに。

 

ただ、彼の実際の風貌は、写真を見ると映画よりもずっとまともでおよそ狂暴ではありません。おそらくスムーズに他の人々と同じように銃を購入できたのでしょう。

 

そして惨劇の寸前でこの映画は終わります。その演出は映画の意図を伝えるのに十分でした。

 

抑揚を押さえることで際立つ悲劇。そして無音のエンドロール。

 

人々の叫び声が聞こえるような気がするような無音の時は、私たちが何をすべきなのかも同時に訴えかけているかのようです。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ