2016年 子供向けのファンタジーだと思っていたら、とんでもない。世界的なベストセラーの映画化だけのことはある、深くてダークなファンタジーでした。
あらすじ
裏窓から教会の墓地が見える家で難病の母と暮らしている少年コナー。ある晩、彼の前に怪物が現われ、これから3つの「真実の物語」を語ること、そして4つ目の物語をコナー自身が語るよう告げる。
しかもその内容は、コナーが隠している「真実」でなければならないという。嫌がるコナーをよそに、怪物は夜ごと現われては物語を語りはじめる。
感想
たしかに怪物が出てきて物語をささやいていましたが、その現実とも空想ともつかない場面に遭遇しても、ファンタジックなものを見ている気持ちにはならず、
ただただ少年の心の闇と成長していく姿を見守る気持ちと、怪物がまるで救世主のように思え、なんとかしてくれという気持ちでいっぱいになるのでした。
つまり、物語が幼稚なのか崇高なのかの違いは、異形のもの、すなわち怪物が出るとか出ないではなく、ストーリーそのものであるという、そんな単純なことを、映画を観ながら改めて感じていたのです。
母親役のフェリシティ・ジョーンズの迫真の演技や、主人公コナー役のルイス・マクトゥーガルくんの熱演、シガニー・ウィーバーの貫禄、そして重厚な怪物はリーアム・ニーソン。総てが上手く噛み合って、心にしみる作品となりました。
さらにこの、樹の怪物のCGの迫力をちゃんと味わうには、スクリーンで観るべきだったなと思っています。