2017年公開。島本理生原作の小説の映画化です。ナラタージュの意味は、ある人物の語り(narration)や回想によって過去を再現(montage)する手法とのこと。ナラタージュ
恋愛を経験し大人になっていく、若い女性の心の成長を描いています。決して優れた映画とは言えませんが、恋愛だけに焦点を絞り女性の視点で描かれた映画だというところに注目したいです。
もっと小説の手法(ナラタージュ)をしっかり取り入れた演出にしたほうが良かったかな、と思います。率直に言えば、間延びしていてメリハリがありません。
あらすじ
泉はふと昔のことを思い出していた。今は充実して働いている。しかし雨の日にはあのときのことを思い出すのだ。
高校3年生の泉(有村架純)は教師の葉山(松本潤)に思いを寄せていた。卒業式にキスされたあと連絡は途絶えていたが、それから2年後、葉山から「演劇部を手伝ってほしい」と電話が入る。泉の中で止まっていた想いが動き出した・・。
感想
泉はまだ20歳の女性。20歳といえば、まだ子供でもある年齢ですが、それでも彼女は精いっぱい大人の選択をしました。キャストの中でいちばんかっこいいと言えます。
相手の男性の葉山は32歳。妻がいるがわけあって別居している。アイドルの松本潤が葉山を演じることが大きい話題になっていますが、葉山はふつうの男の人。妻との生活に戻りたいと思っているが、その同じ胸の中には泉を愛する心もある。ふつうのどこにでもいる勝手な男の役を演じるのは、とても難しかったことでしょう。
もう一人の男。泉が葉山をあきらめられないことを知り嫉妬する小野という男。この最低な人物を坂口健太郎はうまく演じました。
泉は葉山を愛しており、葉山も妻がいて妻を愛しながら、泉のことを大切に思っています。
この勝手な男との真剣な恋愛は、果たして成立するのか。いやしない。どうなるのか、だめにきまっています。
だがしかし自分だったらどうしただろう。そんなふうに、女性だったらみんな自分に置き換えて考えるところだと思います。
有村架純はとてもよく演じており、ラブシーンだけが話題になるのは気の毒でした。高校生の女の子が、大人の女性になっていく、その瞬間の透明感のある強さがうまく伝わりました。