1995年 岩井俊二監督の劇場用長編映画第一作です。主演の中山美穂などが数々の国内映画賞を受賞しました。中山美穂がおそらく一番美しい時の作品だと思われます。
あらすじ
博子（中山美穂）は山で遭難して亡くなった恋人の藤井樹（柏原崇）の3回忌の帰り道、彼の実家に立ち寄った。
そこで目にした中学校の卒業アルバムの、以前住んでいたという北海道・小樽の住所を書き留めた博子は、ふとその住所に手紙を出してみようと思った。もうその場所は道路になり誰も住んでいないはずだった。
「お元気ですか？ 私は元気です」
樹のことが忘れられないでいる博子だったが、樹の親友の秋葉（豊川悦司）に近くでずっと見守られ、新たな一歩を踏み出そうとしていた。
そんなとき手紙の返事が届く。それはもういないはずの「藤井樹」からだった。
感想
はじめはＳＦなのか、と思っていましたがそうではありませんでした。青春時代の甘くほろ苦い思い出と、悲しみを背負った女性の再生の物語です。
中山美穂は2役を演じていますが、少し髪形を変えるぐらいで、うまく演じ分けています。美しい中山美穂が交互に出てくるのは実に楽しいです。なぜ2役でなくてはならなかったかもあとでわかります。
この作品で岩井俊二は一躍その名を轟かせました。小樽と神戸を舞台に展開する2つの時代の物語。最後に彼女たちが新たな一歩を踏み出すのであろうと思わせる前向きなラスト。
しかし描き過ぎてないところがいいです。このあたりは当時としては新しい表現だったと思います。
