『夜明けのすべて』感想/つらいときに誰かが救ってくれるならどんなにいいだろう


出典:映画.com

あらすじ
PMS(月経前症候群)によってイライラと落ち込みが激しくなる藤沢さん(上白石萌音)は、同僚の山添くん(松村北斗)のやる気のない態度に、イライラが爆発してしまった。その山添君も、実はパニック障害で大手の会社を辞めていた・・。

感想
パニック障害とPMS。だれにも起こりうる身近な疾患にもかかわらず、その認知度は低いように思います。

映画の中では、投薬治療でもなかなか症状が改善しないことで思い悩むシーンも。いったいなぜこんな誤作動が起きるのか。人の体とは思うようにはならないものです。

そんなとき、お互いの病気のことを知り、助け合うようになる2人。恋人でもなく、家族でもない2人。しかしこの出会いは、かけがいのないものでした。この出会いによって自らの病気への向き合い方も変わっていったのです。

そして、どのように生きていくのか、また周りとどう接するべきなのか、2人の心は成長していったのです。

おそらくこのあと、2人は別の道を歩み、たとえばめったに会うことがなくなったとしても、それでも遠くでお互いを気に掛けていくのだろうか・・とそんなふうに私たちの心に残り続ける、そんな映画だと思います。

そう、はっきり言って、安易に恋愛関係に発展しなかったところが、この映画の最大の見どころです。

山添くんが言うところの「男女の友情が成立するかどうかはさておき、助け合うことはできる」という下り。自分が藤沢さんを助けることができると認識した時点で山添くんは一つの階段を上がりました。

私が藤沢さんだったら、即この時点で彼に惚れてしまいそうですが、藤沢さんはそれも少しあるにしても、自分も階段を上ることを選択できた。この選択こそがこの映画が観客に発信したかった事そのものに違いないでしょう。

寄り添い、助けられたこと、そして助けたこと。このことが人の背中を押して前に進めてくれる。

こんなことがほんとうにあったならどんなにいいだろう。
おとぎ話のようでもあるのですが、それでもこの映画はなんだか暖かいかたまりとして人の心に残り続けるのだろうと思います。



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