2015年公開。成島出監督。宮部みゆき原作。前編・事件と後編・裁判の2部構成です。順を追って公開されました。
あらすじ
涼子は教師として赴任した母校の中学で23年まえの出来事を思い出していた。いまでは伝説となっている学校裁判のことを。
1990年、大雪が降ったクリスマスの朝に、中学2年の藤野涼子は同級生の野田健一と雪に埋もれた同級生柏木卓也の遺体を発見した。
警察は自殺と断定したが、卓也はいじめられていた不良性との大出俊次らに殺害されたという告発状が学校やなどに届く。
校長は告発状のことを伏せたまま、告発状の差出人を特定しようとする。告発状を出したのは生徒の三宅樹里と浅井松子だった。
しかしあるとき担任教師の森内恵美子に届いたはずの告発状が、なぜかマスコミに渡り大々的に報道されてしまう。そのことがもとで森内は退職を余儀なくされるが、告発状は内容が虚偽であると保護者には説明がされた。
それを知った浅井松子は三宅樹里のもとに急いで行こうとして車にはねられ亡くなってしまう。樹里はショックで声が出なくなってしまった。
涼子は実は卓也がいじめられていたことを知っていて見て見ぬふりをしていることを、卓也になじられたとことがある。また松子の死のショックもあり、自殺すら考えるほど思い悩んだ。
しかし、大人の思惑に振り回され、一向に事実が明らかにならないことに我慢できなくなった涼子は、卓也の友人の他校の生徒神原和彦とともに、自分たちで学校裁判を行うことを決意する。
感想
「ソロモンの偽証」とはどういう意味だろう、とずっとわからないままでした。宮部みゆきのインタビュー記事を見て、「賢者の嘘」という意味だなとやっと理解しました。
しかし、この映画は絶対に原作を読む前に観る、またネットで犯人を検索しないで観る、ということを強くお勧めしたいので、「賢者の嘘」についても忘れてほしいです。
主要な中学生のキャストはオーディションでプロ・素人問わず選ばれました。主演の藤野涼子もその一人。
確かにいきなり選ばれた子達はセリフが上手いとは言えませんでしたが、演技というのは芝居が上手いということだけではないということが、よくわかります。
作品に賭ける、老若問わず出演者たちの思いが、すべてのシーンで伝わってくるような、そんな作品でした。
前編・後編とかなり長ーいですが、この映画は長い必要があります。(ちょっとだけ要らないシーンもあるかなと思いますが)
涼子たちのさまざまな苦悩や、学校の中の問題、だけでなく事件を取り巻くさまざまな事柄が全部必要です。それらをすべて長い長い時間体感して、初めて、一件落着した時の感動が湧き上がる。そういうタイプの映画です。
その長い時間を費やして、初めて「ソロモンの偽証」という映画のよさがわかると思います。