もしかしたら、日本アカデミー賞作品賞を取る前に観ていたら、もう少し感想が違ったかもしれません。作品賞の重みは、作品を厳しく見させることになります。
あらすじ
明治維新が近い幕末の京都。会津藩の高坂新左衛門は長州藩士を討つように密命を受けた。
そして相手の男と刃を交えた瞬間、雷が落ちて気を失ってしまう。目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった・・
感想
この映画を突き動かしているのは、作り手の人たちの異様なまでの熱意に他ならないでしょう。
なんだか遊び半分で作っているような日本映画が多いと感じる中、この映画は観客のみならず映画関係者の心も少なからず動かしたと思われます。
それがあの日本アカデミー賞作品賞につながったのでしょうが、では映画自体そこまでよかったかというと、おそらくいろいろな足りないものが多いなという印象も残りました。
主演俳優以外の演技力が低すぎることや、いろいろと人数が少なすぎることなど、お金があれば解決できるであろう課題が山づみの映画なのですが、ただ熱意はすごい。
この作品に関わる人たちの熱意がすべて束になって、あの濃い顔の山口馬木也にどーんと集約されて、それでも演技力と殺陣の上手さが抜群なのでちゃんとその熱を発信できているという。こんな凄い俳優さんが埋もれていたんだと驚きです。
そういうわけで、熱意だけでインディーズから作品賞にまで登りつめたという、人の心を動かすものは何だろうと思い直した作品でした。